更生保護施設における専門的処遇
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更生保護施設に入所する人が抱える問題は、発達段階や成育環境によって大きく異なってきます。中には、立ち直りたいという意思はあっても、人とのコミュニケーションが苦手である、お酒や薬物がどうしても止められないといった問題から、同じ過ちを繰り返してしまう人もいます。
そうした問題性に対応するため、更生保護施設では、地域の医療・保健・福祉・教育機関や自助グループなどと連携して、専門的な処遇プログラムが導入されるようになりました。
また、令和5年施行の改正更生保護事業法に、更生保護施設における「特定の犯罪的傾向を改善するための援助(特定補導)」が明記され、生活指導など日常的な処遇以外に対象者の特性に応じた専門的な指導や支援が積極的に実施されています。
薬物依存回復プログラム・
性犯罪防止プログラム等
酒害・薬害教育プログラム
SST(社会生活スキルトレーニング)
様々な生活支援プログラム
高齢・障がい者に対する処遇
薬物依存回復プログラム・性犯罪防止プログラム等(特定補導A群)
認知行動療法等に基づき、特定の犯罪傾向(薬物や性犯罪など)を改善するための体系化された手順により対象者の認知の偏りなどを修正し、問題行動を変容させることを内容とする専門的な処遇プログラムです。
原則、指定研修を受講した職員2人以上で実施しています。


酒害・薬害教育プログラム(特定補導B群)
アルコールや薬物は、意思や人間性に関係なく、誰の脳にも快感をもたらし、しかも、一度乱用すると「止めたくても止められない」という依存性を持った化学物質なのです。
回復に至るには、長く険しい道を歩まねばなりません。
時として、医療や福祉の援助を受けることが必要となります。
また、中には、「お酒や薬物だけが自分の味方であった」と孤独感を口にする人、「自分で調節できるから大丈夫」と否認して、同じ過ちを繰り返してしまう人も少なくありません。
そこで、客観的に自分の症状を見つめさせ、回復への第一歩を踏み出せるよう動機づけを行う依存回復支援プログラムの実施やダルクやAAミーティングへの参加など全国的に展開しています。
特に、薬物処遇重点実施更生保護施設では、精神保健福祉士などによる専門的な処遇プログラムを行っています。

SST(社会生活スキルトレーニング)(特定補導C群)
SSTとは、Social Skills
Training(社会生活スキルトレーニング)の略で、生活の中で必要とされる効果的な対人行動の獲得を、体験学習(行動練習)を通じて構造的・体系的に援助していく認知行動療法であるとされ、実際に想定される対人(模擬)場面でどういう行動を取ればよいか教えていく方法です。
実際に自分が体験してみるので、自分の問題点に対する気づきを促し、学習効果を促進すると考えられています。


様々な生活支援プログラム(特定補導D群)
施設を退所した後、自立した生活を送るためには、料理等の家事を無理なく行えるようになることは大切です。
施設の中には、更生保護女性会の方の支援を受けて料理教室を開いて、食材の選び方、保存の方法、調理器具の使い方や調理方法などを教えているところもあります。
また、健全な趣味や余暇活動を広げるために絵手紙やコラージュなどの教養講座を開いているところもあります。




高齢・障がい者に対する処遇
指定更生保護施設では、施設内をバリアーフリー化して高齢や障がいを有する人で、適当な住居のない者を受け入れて、円滑に福祉サービスを利用できるよう支援したり社会適応を図るために指導助言するなど、その人の特性に応じた生活支援を実施しています。
また、退所後の居所の調整は大切な取組です。

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